アップルはヘルスケア分野進出で何を仕掛けるのか

Technology

2016.12.09 Fri.  瀧口 範子

アップルは、アイフォンやウェアラブルのアップル・ウォッチで、医療分野へ進出する大きな野心を抱いている。すでにアップルの製品を健康のために利用している人々は多いだろう。運動量や睡眠量などをモニターすれば、ユーザーが日常的な健康管理を行える。アップルが公開している「ヘルスキット」というSDK(ソフトウェア開発キット)によって、多くのディベロッパーたちが役に立つアプリを開発しているのだ。

それに似たしくみで、医療関係者に公開しているSDKが「リサーチキット」である。実は、これが臨床試験に多く使われているのをご存知だろうか。医療関係機関やディベロッパーらが、臨床試験用のアプリをすでに数々発表している。

たとえば、ロチェスター大学とセージ・バイオネットワークスというNPOが開発した「mPower」というアプリは、2015年にリリースされ、これまで1万2000人以上のパーキンソン病患者が臨床試験に参加した。このアプリは、アイフォンの中に内蔵された加速器やジャイロスコープを利用して、ユーザーの動きのスムーズさや歩行バランスを計測する。

また、「EpiWatch」は、脳卒中が起きるのを予測する方法を研究するために開発されている。発作の兆候を感じたユーザーがアプリをスタートさせると、加速器と心拍数のモニターがスタートし、リアルタイムで発作の強さや長さを計測、服用している薬品などとの関係を研究するのに役立てられている。モニターがスタートすると、家族にもアラートが送られるしくみだ。ジョン・ホプキンズ大学が開発し、アイフォンとアップル・ウォッチの両方で利用可能だ。

これら以外にも、脳しんとうを起こした患者の病後をモニターしたり、糖尿病患者の運動量をモニターして、服用している薬品と食事などとの関係を研究したりするのに役立てられているアプリもある。

これまで臨床試験は、十分な参加者を集めるのが難しかった。だが、アプリによってどこにいても参加でき、アイフォンやアップル・ウォッチのセンサー機能を利用することで、わざわざ病院に来なくてもいいことが、従来の制限を超えるのに役立っている。これらアプリは、一般アプリと同様、アップストアからダウンロードする。
アップルは、一般ユーザー向けのヘルスキットも、ただモニターするだけではなく、病気がわかるような機能性を持つものへ作り替えていこうとしている。テクノロジーと医療と健康が、密接な関係性を持とうとしているのだ。

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