Personal Gold アスリートとヘルステック ――Health2.0 ASIA – JAPANレポート

Technology

2016.12.07 Wed.  HEALTHCARE Biz編集部

医療・ヘルステック分野の新たな取り組みやプロダクト、サービスを紹介する国際カンファレンス「Health 2.0 Asia – Japan」。“Future is Here: The Most Advanced Technologies and Healthcare”と題して12月6日に渋谷ヒカリエ、7日にコングレスクエア日本橋にて開催された。最先端技術とヘルスケアの今と未来に沸いた2日間の様子を特集していく。

Personal Gold:アスリートとヘルステック

公式プログラムより
ドキュメンタリー映画“Personal Gold”が解き明かす、先端技術とビッグデータ解析で獲得した誰も予想しなかった勝利。トレーニングを編み出した立役者Sky Christophersonが、アスリートとヘルスケアの未来について、日本のトライアスロンの第一人者で、熟練したトレーナーでもある白戸太朗と対談。自身もトライアスリートである出張勝也がモデレーターを務める。

<モデレーター>
出張勝也 株式会社オデッセイコミュニケーションズ

<スピーカー>
白戸太朗 株式会社アスロニア
Sky Christopherson OAthlete

強化予算ナシ。オリンピックまで3か月。絶体絶命のサイクリングパシュートアメリカ女子チームが、ロンドンオリンピックで銀メダルを獲得。わずか3か月で劇的な大躍進を実現させたのは、ビッグデータ活用だった――。会場を驚きと感嘆に包んだ発言をダイジェスト紹介する。

白戸: Skyさんの取り組みは、睡眠や食事も数値化してトレーニングと掛け合わせた分析を行ったのが革新的。トレーニングそのものの研究は進んでいる。ただ、一旦フィールドを離れると意外と選手任せだったりするのが実情。その管理を実現させたのが非常に面白かった。こういうと、選手をがんじがらめに管理するように感じるかもしれないが、フィードバックのループで管理をプレッシャーでなく目標達成へのモチベーションに高めていったのも注目すべき点。

Sky: トレーニングは、体にいいストレスとなるが、そのあとの回復が重要。その中では、睡眠が必要不可欠な要素となってくる。睡眠の質をいかにあげて、翌日の結果をUPさせるかにこだわって分析を行った。アスリートでなくても、同じように睡眠をとっても朝の気分がいい時と悪い時はありますよね。睡眠中には一体何が起こっているのか。それを知るためにヘッドバンドで脳波を分析、また心拍や呼吸数も計測して解析し、可視化。例えば、成績が良くなった日の前日は、ステージ4という深い良い睡眠が取れていた。それは、シーツ内の温度に左右されていた。じゃあ、その温度は何度か。その環境に近づけるためにウォーターマットレスを利用してみようか・・・といったことを丁寧に検証していく。検証→実施→成功を具体的な数値で見せることで、データより経験値を重んじがちな選手たちも実感していったようだ。

白戸: アスリートは、そもそも強くなることへのモチベーションが高い。だから、トレーニングの負荷はそこまで問題にならない。トレーニングの後は、栄養と休養で回復せねばならないが、そこへの取り組みはまだまだ。スポーツの現場ではパーソナルな睡眠の研究はあまり進んでいない。選手に対しても「よく寝れたか?」のフィーリングの確認のみというケースも多い。日本の選手で睡眠マネジメントが行われている例は、自分が把握している範囲では聞いたことがない。

Sky: トラッキングしてパーソナルデータを集積するだけでなく、選手に意識をさせることが大切。主観的な感情と客観的なデータを相関づけて、自分のキャリブレーションをしていかなければならない。たとえば、睡眠中の血糖値に関して、夜間に急上昇していたとする。そこから洞察を深める。スポーツドリンクが高血糖を引き起こしたといったのか? タンパク質はどうだった?といった形で。睡眠、栄養、運動・・・・・・日々パズルのように組み合わせて洞察していく。

出張: データドリブンで日常生活を見ていったのが大きな貢献だと思う。

Sky: 実は今、この取り組みで得た知見を組み込んだアプリを開発している。しかも、パートナーはApple、Apple Watch。来年リリースを予定している。

白戸: Appleがパートナーとうことで、できるだけシンプルにわかりやすくが実現されるのではないか。スポーツで求められるものは非常にシビア。睡眠も栄養も、人間を極限まで追いつめる。そこで構築された知見やノウハウが一般に広まるというのは正しいあり方。F1に近い。極限で研究した技術が、一般の車の安全性に生かされる。だから、一般の人たちの健康管理にも必ず役立つものになるのでは。スポーツ選手での取り組みは、最高の実験台だ。
本音をいえば、東京オリンピックが終わるまでには日本以外にはリリースしないでほしいけど(笑)。

出張: ハードではなく、そういったスキル、ノウハウこそが、オリンピックレガシーなのでは!

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