人工知能がメンタルヘルスの診断を支援する

Technology

2017.01.06 Fri.  奥田由意

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AIの医療分野への適用が進むなか、精神疾患の重症度を客観的に診断し、支援するシステムが生まれつつある。

訴訟の際の証拠発見やビジネスインテリジェンス、ヘルスケアなどのデータ解析事業を手がけるFRONTEO(フロンテオ)は、自社開発したAIエンジン“KIBIT”(キビット)を使い、うつ病・躁うつ病などの気分障害や認知症などの精神疾患の診断を支援する機器開発を2015年11月から進めている。

日本医療研究開発機構(AMED)の「ICTを活用した診療支援技術研究開発プロジェクト」として採択され、慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室の岸本泰士郎専任講師のグループを中心に、日本マイクロソフト、ソフトバンク、音声認識技術のアドバンスト・メディア、成形機器メーカーのセムコ・テクノ、ソフトウェア開発のシステムフレンドなど5社との共同プロジェクトだ。

精神疾患の診断は、医師の問診による主観的な判断によるところが大きい。熟練度や感覚にも左右され、同じ患者を診ても客観的な評価をしにくいのが現状だ。このプロジェクトでは、患者と医師とのやりとりを機器で観察し、例えば、表情の状態を判別したり、会話内容などをテキスト化し、AIが状態を判断する。その他、体動など様々なデータにAIの情報解析を加え、精神疾患の重症度を客観的な数値として提示することを目的としている。

たとえば、同じ医療分野への応用が進むIBMのWatson(ワトソン)は、人間の処理能力を超える膨大な症例データをひたすら蓄積し、コグニティブコンピューティングの要素としているが、これに対してKIBITは、いわば名医の精錬された熟練の判断基準と(その診断結果)を模範として取り込む。現在は「医師が患者の何に注目して、どう評価するかというプロセスを、さまざまな角度から細分化し、必要なデータを特定するなど、AIに効果的な学習をさせるための工夫を重ねている最中」(FRONTEO広報 池内氏)という。

診断の場に設置して、患者の情報を読み取って記録し、情報解析し、結果の提示までを行う医療機器として、2019年の承認申請を目標としている。客観的な重症度指標の提示により、診断そのもの確度が上がれば、精神疾患の治療薬の開発や患者の治療効果測定に光明が差す。

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