入院患者の転倒・転落リスクをAIが予測

Technology

2017.01.16 Mon.  奥田由意

ビジネスインテリジェンスやヘルスケアなどAIによる解析を主に手がけるFRONTEO(フロンテオ)は、自社開発したAIエンジン(KIBIT)を用い、NTT東日本関東病院と共同で、年度内にも入院患者の転倒防止システムの実用化を目指す。

入院患者の高齢化に伴い、院内での転倒・転落対策はより重要なものになっている。今回の試みは、電子カルテの自由記述欄のテキストを、KIBITで解析し、転倒・転落リスクの有無を評価するというものだ。

『転倒転落予測システム』(ベータ版)のトップ画面

これまでも、同病院では患者のリスクを評価するためのアセスメントシートを作成し、患者の転倒リスクを評価、体動センサーやマットセンサーの設置など対策を講じてきた。しかし、アセスメントシートによるリスク評価は、業務負担があり、すべての患者に対して高い頻度で行うまでには至っていなかった。

そこでFRONTEOでは、NTT東日本関東病院と協議の上、KIBITによる看護記録の解析により、アセスメントと同等のリスク評価が得られないかと研究を開始した。過去の看護記録から実際に転倒・転落の要因となりそうな記載を人工知能に教育する教師データとして試行を繰り返した結果、看護記録から実際に転倒した患者を高精度で抽出すること成功している。

「患者一覧」画面。担当箇所の患者のリスク状態を見ることができる。

転倒・転落リスクを判断する根拠としては、患者さんの運動能力に関しての指標である「自立行動」の状態や、せん妄状態や混乱などの「意識障害」が見られるかどうかがポイントになる。患者の言動はさまざまではあるが、KIBITは自然言語という非構造のデータの中から言語的な特徴を学習をして、未知のデータであっても類似の特徴を検出できれば評価が可能である点にその優位性があるという。

個別の患者の状態は「個人表示」画面で確認。リスク判定の理由を電子カルテから抽出された表記や時系列での推移により確認できる。

看護師というエキスパートの暗黙知を学習することで、その経験が汎用化されれば、業務の効率化や伝承に応用可能である点も大きなメリットだ。

Writer Profile

奥田由意 Okuda Yui

フリーランスライター

ビジネス書の出版社ダイヤモンド社勤務ののち独立。ダイヤモンド社出版物やダイヤモンド・オンライン、プレジデント社の「プレジデント・ウーマン」などで記事執筆。誠文堂新光社のデザイン雑誌「アイデア」などで翻訳も手がける。

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