ヘルスケアウェアラブル最前線:シリコンバレーで今注目のスタートアップとは――

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2017.02.10 Fri. 

1月18日〜20日、東京国際展示場(東京ビックサイト)にて、ウェアラブル端末の活用と技術の総合展「ウェアラブルEXPO」が開催された。IoTやAR/VRの最新技術、ウェアラブルデバイスに関する最新情報や新商品などが出揃った。出展企業は178社、来場者も3日間で15000人を超える大盛況となり、ウェアラブル業界への関心の高さが伺えた。

会場ではスマートグラスや衣料型デバイスに注目が集まる中、HealthcareBiz編集部が着目したのは「ウェアラブルデバイス」×「ヘルスケア」。トーマツ ベンチャーサポート(株)海外事業部長 シリコンバレー事務所代表 木村氏による講演「シリコンバレー発・ウェアラブルスタートアップの最新動向」から業界のトレンドを探った。

ウェアラブルスタートアップへの投資件数は減少

近年ウェアラブル市場、特にリスト型ウェアラブルが堅調に成長している。デバイス出荷数の推移をみても、2014年から2016年の2年間で、リスト型デバイスが約4倍(約2000万台から約1億万台に)、さらに2020年までには衣料型、メガネ型など含むすべてのウェアラブルデバイスについて、2億台を超える出荷数が予測されている。

現在、リスト型ウェアラブル業界は、大手メーカーの勢力が非常に強く、複数の大手企業でシェアを取り合う状況となっている。中でもフィットネストラッカーの分野ではfitbitXiaomiが堅調である。つまり、スタートアップには厳しい環境が続いており、ウェアラブルスタートアップへの投資件数も減少しているのが実情だ。

そんな中で、生き残りをかけたウェアラブル開発者は新しい価値形成に取り組んでいる。その鍵となるのは機能面とサービス面の差別化。ハードウェアにおいてはセンサーやディスプレイなどの多機能化が、そしてソフトウェアにおいては自社個別アプリケーションの提供やユーザーコミュニティの形成などがあげられる。
また、API(アプリケーションプログラムインターフェイス)を積極的に公開し、外部サービスと提携することによってプラットフォームを構築、ユーザーの囲い込みを実現している。さらに、デザイン面でも老舗ブランドとのコラボなどの新しい動きが見られる。

このような市況の中で、成長しているウェアラブルスタートアップの事例を参考にしながら、その成功シナリオを考える。

ウェアラブルデバイスの3つのターゲット顧客と成功シナリオ

1. 健康志向ユーザー
成功シナリオ:超低価格×プラットフォーム化 × 新健康ソリューション

健康志向ユーザーには、低価格でデバイスを浸透させ、アプリケーションサービスで価値を生み出す戦略が取られる。例えば、運動量や心拍をモニタリングし、それに対して識者のアドバイスがもらえたり、医者にデータを持込たりという仕組みだ。そのアプリケーションの種類もユースケースに応じ、幅広く提供する必要がある。

2. テックアーリーアダプター
成功シナリオ:多機能化

テックアーリーアダプターは、まさにシリコンバレーに欠かせない貴重な存在であり、流行にいち早く飛びつき、自ら情報収集と研究を行い、ジャッジする人たちである。周囲への影響力が強い彼らに対しては、とにかく決済やジェスチャー認識などの多機能化、新機能開発に力を入れることになる。

3. ファッション志向ユーザー
成功シナリオ:高デザインのクラシックメーカーのウェアラブル化サポート

常に身につけておくからには、デザイン性も無視できない。ファッションの一部としてウェアラブルを楽しむために、老舗ブランドとのコラボや、ブランドメーカーのウェアラブル化への協力も行っている。

これらのシナリオにおいて成功しているスタートアップとそのサービス内容について紹介する。

健康志向のユーザー向け
1.<GOQii>https://goqii.com/us-eng
リスト型のウェアラブルデバイスで運動量や睡眠時間を計測、データがGOQii登録コーチにシェアされる仕組み。コーチからの指導・アドバイスなどサービスに応じてアプリ課金される。デバイスは無料。現在ユーザーは10万人以上、登録コーチはおよそ1000人。今後はドクターとのマッチングなどプラットフォームを医療に広げて行く。

2.<Lumo Bodytech>http://www.lumobodytech.com/
Lumo Liftというマグネット型の小さなデバイスを衣服に取り付けるだけで、運動量、消費カロリーなどの計測はもちろん、姿勢を改善することができる姿勢矯正ウェアラブルセンサー。姿勢が乱れたときにやさしく振動して気づきを与える仕組み。姿勢維持の時間もカウントされ、矯正の過程も実感できる。

3.<Athos>https://www.liveathos.com/
衣服型のウェアラブルデバイス。バイオメトリックセンサーが埋め込まれたワークアウト用のボディスーツで、運動時の呼吸や心拍数、ストレスレベル、消費カロリーなどの様々なデータを読み取ることができる。リスト型ウェアラブルに比べて、より詳細なバイタルデータの収集が可能に。データをもとに、個人に適した運動プログラムも作成されるため、パーソナルトレーナーに変わるフィットネスパートナーとして人気が高まる。洗濯も可能。

4. <MC10>https://www.mc10inc.com/
肌に直接貼ることのできる超薄型のウェアラブルデバイスを発表して注目を集めた。ISO13485(医療機器の品質保証のための国際標準規格)も取得済みで、医療目的では心臓不整脈の治療やモニタリング、赤ちゃんの体温管理など、継続してモニタリングが必要な症例に活用されている。

テックアーリーアダプター向け
5.<MYO>https://www.myo.com/
筋電センサーを搭載したアームバンドを着用することで、腕の筋肉の電気信号を読み取り、手首や指を動かすだけでデバイスをワイヤレス操作することができる。ドローン操作やゲームなどの用途から、医療分野への進出が期待されている。

ファッション志向ユーザー向け
6.<Fullpower Technologies>https://www.fullpower.com/
スイスの高級時計メーカー「フレデリック・コンスタント」と提携。スイス時計産業のスマートウォッチ化のプラットフォームを目指している。

ウェアラブル市場で世界トップシェアを誇るfitbitの戦略については、同社シニアアドバイザーの熊谷氏より講演があった。

fitbitは24時間心拍を監視、睡眠状態もデータで把握できるリスト型ウェアラブル。販売台数は5000万台を超えた。Fitbit自体は万歩計の機能を超えることはないが、膨大なユーザーデータが医療分野において注目を集めており、医学系大学との共同研究も進められている。アメリカでは、保険会社が、加入者の健康を促進するためのツールとして活用されており、歩けば歩くほど保険料が下がるなどのユニークかつ合理的な取り組みも。

リスト型ウェアラブルはほぼ出揃った感が否めず、2015年にスタートアップへの投資額が大幅に減少した。代わって世間の注目と資金が集まっているのがVR/AR業界。ハードウェア市場は2025年に約5000億円になると予想されている。医療応用も期待される注目スタートアップとしてMind Mazeが紹介された。

<Mind Maze>http://www.mindmaze.com/
脳神経科学の博士が起業したベンチャー。神経テクノロジーとリアルタイムのコンピュータビジョンアルゴリズムに基づくVRヘッドセットを開発。脳神経を損傷した患者の早期リハビリに活用されている。

健康促進のためのウェアラブルと付随するプラットフォームなどのサービスはこれからさらに進化するだろう。今後の市場動向に目が離せない。

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