これが最新ハイブリッド手術室だ!最新血管撮影装置『ARTIS pheno』、慈恵医大に導入

Technology

2017.04.10 Mon. 

東京慈恵会医科大学附属病院(以下、慈恵医大)はシーメンスヘルスケア株式会社の最新血管撮影装置『ARTIS pheno(アーティス・フィノ)』を導入、「最新のハイブリッド手術」として装置の特徴や新たな可能性、すでに行われている手術症例実績についての共同記者発表が行われた。

ハイブリッド手術室とは、手術台と心・血管X線撮影装置を組み合わせた手術室のこと。従来は、手術室と撮影装置が別の場所に設置されていたため、患者移動が必要で迅速な対応が難しかった。しかし、ハイブリッド手術室で必要な機器が組み合わさることで、たとえばカテーテルで血管内治療を行いながら、手術も実施することが可能となる。

シーメンス社は170年前にドイツで創業、日本では130周年を迎えた歴史ある会社であり、ヘルスケア事業では主に医療機器分野で新しい技術を生み出しイノベーションを起こしている(シーメンス社は2015年にヘルスケア事業の独立経営を発表)。そんなシーメンスヘルスケア社が『ARTIS pheno』の日本初導入先に選んだのが、血管系疾患で多くの症例実績がある慈恵医大だ。『ARTIS pheno』は現在ドイツに2台、そして今回慈恵医大に導入された1台と、世界にまだ3台しかないまさに最先端装置だ。キーワードは低侵襲。

『ARTIS pheno(アーティス・フィノ)』の特徴

『ARTIS pheno』は脳神経外科や心臓外科、血管外科などにおけるハイブリッド手術で活躍する。Cアーム内のフリースペースが広く、アームがロボットのように機敏に動く。今までのようにCTを撮るために患者を動かさずとも、患者の周りをアームがぐるっと回って撮影CTの撮影時間も6秒と非常に短く(従来は20秒)、被ばく線量の大幅削減を可能にした。

脊椎手術中の様子。患者の周囲をCアームが回転することで、患者を動かさずにCT撮影が行える。撮影した画像は、眼前のモニターに投影。

画像処理技術も進み、造影剤の量も減らすことに成功している。これらが低侵襲を叶えた要素である。
また、装置に付属するケーブル類はすべて内部に収納されていることも画期的だ。「ケーブルなどはすべて装置内部に収納した。抗菌加工する手間を省き、完璧な衛生環境を提供することに成功した。」(シーメンスヘルスケアのPeter Seitz氏)

従来品(左)と『ARTIS pheno』(右)。従来品では機器上部にあったケーブル類が収納されている。

現在ドイツで稼働している2台は放射線科で用いられており、あくまで手術前の検査目的だが、今回慈恵医大が導入したのは手術室。その場でCTを撮り、モニターで過去の画像と比較しながら治療するなど、最新ハイブリッド手術を可能にしている。慈恵医大では脳神経外科、心臓外科、血管内科で主に利用されており、脳神経外科と耳鼻科、心臓外科と循環器内科など他科とチームを組んでの症例もある。それぞれの症例について、各科教授による説明会が続いた。

脳神経外科・村山雄一教授

頭頸部の腫瘍や脊椎・胸椎の疾患で『ARTIS pheno』が役立っている。開頭クリッピング手術や脳腫瘍の摘出など、手術開始時のCTを患者を動かすことなくいろいろな角度から短時間(1周6秒)で撮影し、しかもかなりの高画質でモニターに映し出される。クリッピング手術で使用する金属のピンが乱反射を起こす(画像に陰影が映る)こともなければ、腫瘍の位置も4Dで時間軸まで把握することができる。また、今まで経験値や感を頼りにしていたような環椎軸椎関節へのスクリューの挿入なども、リアルタイムCT画像を見ながら正確な場所に打てるようになった。

心臓外科・坂東興教授

65歳以上の罹患率が2〜3%である大動脈弁狭窄症の経カテーテル大動脈弁置換術を紹介。

『ARTIS pheno』で撮ったCTをみながらカテーテルを進行し、人工弁に置き換える手術だが、所要時間も短く患者にとって非常に低侵襲、手術翌日から歩行が可能で、患部の位置が確実にわかるため安全に手術を実施でき、これまでのところ、死亡例はゼロで全員自宅に元気に戻っている。

2年前からHeartチームを結成し、心臓外科のみならず、心臓に関する各分野の専門家が集まって、各々の専門性を活かしながら集学的な治療を行なっている。

血管外科・大木隆生教授

20世紀はガンとの戦いだった。21世紀は生活週間病の成れの果てである血管疾患との戦いとなると言われている。慈恵医大は血管外科手術で最も実績をあげている病院のひとつである。

例えば狭窄病変の撮影では、楕円に狭窄している血管をあらゆる角度から撮影し、最も狭窄度の高い角度を瞬時に知ることができる。造影剤も減らせる上に、無駄な切開がなく絆創膏に収まる程度で済むこともある。

大動脈瘤に関しては、他院で手術不能と言われた患者が全国から来るが、こうした難手術においては高画質、高性能な『ARTIS pheno』の存在が特に有益である。

慈恵医大では、脳神経外科、心臓外科、血管内科に加え、症例によっては耳鼻科などもハイブリッド手術に加わる。手術中に必要な箇所のCTを短時間で撮影できるため、複雑な手技を要する患者や複数の疾患のある患者が1度の手術(1度の全身麻酔)で手術を終えることができるのは、患者ファーストを掲げる慈恵医大の理念に沿うものである。日本で最初に導入するのは慈恵医大しかない。シーメンスヘルスケア社からオファーがあったのは、それに価する人材がいること、これまでの実績が評価されてのことである。

シーメンスヘルスケア社の『ARTIS pheno』は、パシフィコ横浜で開催される「2017国際医用画像総合展(ITEM 2017)」(2017年4月14~16日)で見ることができる。世界的に権威のあるデザイン賞「IF Design Award 2017 」を受賞した近未来的なフォルム、機敏に動くロボットアームなど、必見だ。

シーメンスヘルスケア株式会社
https://www.healthcare.siemens.co.jp/

文・ふるたゆうこ

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