「スマート歯ブラシ」登場! 歯科衛生士から生まれたアルゴリズム内蔵

Product

2017.05.15 Mon.  松田ひろみ

子どもが嫌がって歯みがきをしてくれない————。こんな万国共通の親の悩みをついに解決するソリューションが生まれたのかもしれない。歯ブラシの持ち手に取り付けるだけで、アプリと連動してブラッシングそのものがゲームになる、そんなアイテムがいま、じわじわとカスタマーの支持を集めている。

時代とともに変わるデンタルケア
クリニックも治療から予防の場へ

ピンクやグリーンなど、カラフルな色合いのシリコン製アタッチメントを取り付けた歯ブラシ。それを持ってシャカシャカと普段通り歯を磨いてみると、タブレット画面に「GOOD」や「BAD」など、リアルタイムで評価が表示される。それだけでなく、磨き方の上手・下手に応じてテンポや音色が変化して曲が演奏されたり、ゲーム感覚でお口の中の菌モンスターをやっつけたりすることができる。
アタッチメントの中には3軸の加速度センサーが入っており、ブラッシングのピッチ、速さ、強さ、ブラシを傾ける向きなどから、いかに適切に歯を磨けているかどうかを判定してくれるのだ。大人でもついついむきになって一生懸命磨こうとしてしまうのだから、いわんや子どもをや———。

この商品「G・U・M PLAY(ガム・プレイ)」を開発したのは、オーラルケアメーカーとして知られるサンスター。なぜオーラルケアメーカーがこのようなガジェットを開発するに至ったのか、マーケティング部の松富信治さんに尋ねてみると、次のような答えが返ってきた。

「デンタルケアの位置づけは時代とともにかなり変わってきました。かつては虫歯はどうしてもできてしまうもの、歯医者さんは痛くなったらいくところ、と考えられていましたが、最近では、歯科は痛くなる前にいくところ、予防のために通う場所だという認識が広がってきました」

カスタマーの変化に応えて、
歯みがきという「体験」を変えていきたい

たしかに近年、歯周病と全身疾患との高い相関が指摘されるなど、歯の健康はQOLに非常に大きな影響をおよぼすことがわかってきた。それに伴って歯科での定期健診や予防ケアも身近なものになってきたし、乳幼児期からのフッ素塗布も広まってきている。

「一方で、お子さんの歯みがき嫌いという問題は今も昔も変わりません。また、大人も自分の磨き方がはたして適切なのかどうなのかわからないままに、習慣として歯みがきをしています。そういうギャップにオーラルケアメーカーとして応えていけないか、という課題感がありました。
我々は長年歯ブラシや歯磨き剤などをつくってきたわけですが、歯ブラシや歯磨き剤の商品の原理や仕組みそのものはこの数十年間でとりたてて大きくは変わっていません。ですが、デンタルケアのあり方の変化に応えて、歯みがきという『体験』そのものを変えていけないかと考え、メーカーとして新しくチャレンジしてつくったアタッチメントがこの『ガム・プレイ』なんです」

現役の歯科衛生士データから
「正しい磨き方」を分析

このガム・プレイを開発する過程でもっとも苦心したのが、はたしてどのような磨き方を「適切」と判断するのかという評価アルゴリズムの構築だったという。

「アタッチメントの中には3軸の加速度センサーが入っています。当初はジャイロセンサーを組み込むことも検討しましたが、それでは重量やコストの面で見合わない。加速度センサーだけで、どこまで精緻に手首の動かし方や磨き方を判定するのか、そのアルゴリズムを確立させるのに2年を費やしました」

どういう磨き方をよしとするのかは、実際に歯科衛生士の磨き方を計測、分析して導きだしたのだという。そして口腔内を、奥歯の上下・左右・内側・かみあわせ・外側という12ヵ所、そして前歯の上下・内側・外側という4ヵ所、合計16ヵ所に分割してアプリ画面上で表現し、それぞれについて磨き方が強い、弱い、ブラッシングピッチが良い、悪い、磨き時間が足りていないといった評価を下し、点数化してくれるのだ。

ブラッシングピッチや強さ、時間などからブラッシングを点数化。歯科衛生士の動きにどれだけ近いかが採点される。

使う人の年齢やシーンに合わせて選べる
3つのアプリ

ガム・プレイには、現時点では3つのiPhoneおよびAndroidアプリが用意されている。
1つは「MOUTH NEWS(マウス・ニュース)」。これはビジネスマンの朝、慌ただしい出勤前に使うことを想定したもので、3分間、ニュースを読み上げながら、次はどの部分を磨くとよいのか、正しいブラッシングができているかどうかを随時教えてくれるというもの。
2つ目は「MOUTH BAND(マウス・バンド)」。これは大人向けの歯みがきゲームといったもので、適切に磨くことでどんどん画面上に新たな楽器が登場し、演奏される曲が盛り上がっていくという内容だ。ブラッシングピッチが音楽のピッチに連動しているため、感覚的に正しい磨き方を体得することができる。


そして3つ目がもっともカスタマーからの反響が大きいという、子ども向けの「MOUTH MONSTER(マウス・モンスター)」。これは口の中に住んでいるバラエティ豊かなモンスター(菌)たちをやっつけながら歯みがきを進めていくというものだ。ゲーム内の誘導に従うだけで、口の中のあちこちをバランスよく、リズミカルに磨いていくことができる。筆者も試してみたが、菌を倒したいがためについ懸命に手首の角度や力の入れ具合を微調整してしまった。

キャラクターは全部で92種類。すべて実在する菌をモチーフにしてビジュアルや名前を設定したそうだから配慮がいきとどいている。楽しくて子ども達が磨きすぎてしまうという問題が起こるために、プレイ間隔の設定として30分単位で終了するという機能を追加したそうだ。

子どもたちが戦うモンスターたち。時間帯によっても登場モンスターが異なるという。

「歯みがきという育児の負担が
なくなった」というカスタマーの声

歯科診療は予防医療にシフトしつつあり、虫歯にかかる子どもの割合そのものは減ってきている。だが、だからこそ子どもに歯みがきをさせるということが、育児においてかつてよりも大きなプレッシャーになっているという。現代の母親・父親は「我が子を絶対に虫歯にさせてはいけない」と考えているのに、子どもは依然として歯みがきを嫌がるからだ。
そんな背景があるために、ガム・プレイを購入したカスタマーからこんな声が届いたときはうれしかったと前出の松富さんはいう。「子どもが進んで歯みがきをしたがるようになって、育児のストレスが一つ減りました

また、中にはこんな問い合わせや意見もあるのだという。「ゲームに登場する菌モンスターを子どもが全種類知りたいといっている。一覧表を送ってもらえないか」「うちでは父親のスマホでしかガム・プレイのアプリを使えないので、子どもが歯みがきをせずにパパの帰宅を待っている。そのため夜更かしになってしまうので早く帰宅するようになりました」

ブラッシング分野におけるゲーミフィケーションで、これまで誰も把握できていなかった「歯みがきの質」がひそかに変わりつつある、そんなことを感じた取材だった。

「G・U・M PLAY(ガム・プレイ)」
https://www.gumplay.jp
1台5,000円(税抜)
お問い合わせ先 サンスターお客様相談室
0120—00—8241 (平日9:00~17:00 土日祝除く)

Writer Profile

松田ひろみ Hiromi Matsuda

富山県生まれ。東京大学文学部卒。株式会社リクルートを経て、フリーランス編集者に。ヘルスケア、ベビー&マタニティ領域でのライティング経験多数。

Share
Share