ロボット機器が変える介護現場。介護従事者の身体負担を軽減、リハビリもサポート

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2017.05.09 Tue. 

テクノロジーによる介護イノベーションで何が起きているのか――。

ヘルスケアIT 2017」及び同時開催の「介護・福祉ロボット開発展」(2017年4月17日~19日、東京ビッグサイト、主催:UBMジャパン株式会社)では、介護の未来を担うプロダクト・サービスが一堂に会した。見守りシステムに、コミュニケーションロボット、ロコモ予防デバイスなど多くのアイデアが集結した中で、今回は装着型のプロダクトを紹介する。

マヒした手指、足首のリハビリロボット
「パワーアシストハンド」「パワーアシストレッグ」

株式会社エルエーピーの「パワーアシストハンド」「パワーアシストレッグ」は、マヒした手指、足首のリハビリテーションロボットだ。空気の力で手指、足首を繰り返し動かすことで、リハビリをサポートする。通院して行うリハビリは時間や回数が限られるが、だからといって施設以外で自力で毎日継続的に行うこともむずかしい。そこで「パワーアシストハンド」「パワーアシストレッグ」を使えば、自宅でのリハビリが容易に行える。

手指用の「パワーアシストハンド」。グローブのように手に装着するが、予想外の軽さに驚いた。

動作は、手指の曲げ伸ばし、足首の上下運動のみと非常に簡単だ。作用する力の強さも一定で、拘縮のある人でも使えるように優しく動かしてくれる。無理な力で動かさないので、体に過剰な負担をかけることもない。さらに毎日繰り返すことで、可動域が改善し、緊張も緩和されることが期待される。またマヒのある手足にも装着しやすいように工夫されており、グローブは重厚な外見に反して柔らかく、つけ心地も良い。

現在「パワーアシストハンド」は、手指のリハビリに限定されているが、手首用も開発中とのこと。回数設定などができる制御ボックスを使うと価格は高額になるが、レンタルも可能だ。

パワーアシストハンド
http://www.t-atom.com/?page_id=820

介護職員の腰への負荷を低減する
「ロボットスーツHAL®介護支援用(腰タイプ)」

CYBERDYNE株式会社が開発し、オムロンとの共同事業で市場への導入を進めている「ロボットスーツHAL®介護支援用(腰タイプ)」(以下「HAL介護支援用(腰タイプ)」)は、介護職員がベッドから車いすへの移乗や体位変換などの介助を行うときに、動作をアシストしてくれるもので、介護職員の腰への負荷を低減し、腰痛を引き起こすリスクを減らす。

「HAL介護支援用(腰タイプ)」を装着した様子。3キロほどあるが、体幹部分に装着するため、重さは感じない。

電極を背中に貼り、本体を装着するのにかかる時間は1~2分ほど。重装備に見えるが、装着はそれほどむずかしくなく、慣れればそう面倒なものではないだろう。重さはバッテリーを含めて約3キロ。使用している介護職員からは「器具の重さの負担より、腰への負荷が減る方がメリットはずっと大きい」という声が届いているという。小柄な女性職員でも重さはそれほど問題にはならない。逆に小柄な女性だからこそ、腰への負荷を減らすためにHAL介護支援用(腰タイプ)を使用するメリットは大きいと言えるだろう。

動作環境によっても変わるが、駆動時間は3時間ほど。アシストが必要などきだけ作動するので、作動していない時間も考えると5時間程度は使用できるという。使用例の1つとして、介護職員が介護にかかる業務を分担し、HAL介護支援用(腰タイプ)を装着した職員が起床や移乗を専門に担当、さらにローテーションで担当をまわしていけば、各介護職員の腰への負荷を減らしつつ全体の業務効率も上がるだろう。

腰痛で介護職員が退職するケースは非常に多い。介護人材の確保が課題となるなか、介護される人が安心して、快適な介護を受けるためにも、ロボット機器の導入によって介護職員の身体負荷を低減することはますます重要になるだろう。介護現場におけるロボット技術のさらなる活用が望まれるところだ。

また、HAL介護支援用(腰タイプ)がスタイリッシュなデザインであることも追記しておきたい。これまで介護環境にデザインはあまり重視されてこなかった。職業魅力の向上のためにも、デザイン性を追求することは大切なのではないだろうか。

HAL(腰タイプ)装着体験会(オムロン(株)主催)
http://www.omron-fe.co.jp/seminar/2015_hal.html

日本は、世界に類を見ないスピードで超高齢化社会が進行している。日本のものづくり技術が介護現場でさらに発揮され、ロボット介護機器の普及活用が拡大することを期待したい。

■文 坂口 鈴香

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