離職率37%低下! 気持ちを見える化する「Willysm(ウィリズム)」が変える職場コミュニケーションと生産性向上

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2017.06.19 Mon.  黒沼由紀子

健康経営や働き方改革が取り沙汰される昨今、職場におけるメンタルヘルスの重要性が高まっている。とはいえ、ストレスチェックや産業医面談を行う以外にどのような対策に取り組めばいいのか分からないと悩む企業も多い。今回紹介するのはそんな問題を解決してくれる画期的なシステム「Willysm(ウィリズム)」。社員の日々の気持ちを蓄積し見える化することにより、個々の社員、ひいては組織の生産性向上につなげる「モチベーション・マネジメントシステム」だ。現在見えてきた効果データや課題点、今後の展望も含め、話をうかがった。

IT業界の切実なメンタルヘルスが発端
気持ちを定量化して生産性UP

近年、企業の採用においては売り手市場が続いている。しかし、離職率の増加が問題視され、新入社員は特に辞めやすいという。離職理由の第1位は「人間関係(25.8%)」(エン・ジャパン(2016))。人間関係として問題視されるパワーハラスメントが起きやすい職場は「上司と部下のコミュニケーション不足(37%)」(労務ドットコム、2017)を挙げる声が多く、「コミュニケーションの減少」はメンタル疾患が発生しやすいとの指摘もある(三菱総合研究所)。

このような職場の人間関係を活性化してくれるのが、モチベーション・マネジメントシステム「Willysm(ウィリズム)」だ。既に導入済みの企業従業員の約80%が上司との人間関係に効果があったと答え、企業の離職率が前年度に比較して約37%も低下。さらに、利用者のうち、モチベーション・マネジメントによりポジティブ脳に変わった人は約16%も生産性が向上国の定める生産性指標が2%UPという結果だという。

ウィリズムを開発したのは、98年に金融系システム会社としてスタートした株式会社キーポート・ソリューションズ(東京都港区)。開発のきっかけは、IT業界に多い長時間労働や責任の重さに起因するメンタルヘルス問題に直面したことだという。

代表取締役社長の森田 昇氏が、前職の三菱総合研究所で感覚を計測するという経産省のテーマを担当していたことが、打開策へのアイデアを生んだ。

「メンタルヘルスを把握するために、まずは“気持ち”の可視化が欠かせないと考えました。そのうえで、“気持ちが前向きになれば生産性が上がる”というだれもが経験的に理解できる現象を証明し、どのくらいの生産性が向上するかの定量化を実現したいと思いました。」(森田氏。以下「」内同)

Shawn Achorの「The happy secret to better work」によると、気持ちが向上すると生産性は31%も向上するという。だからこそ気持ちを可視化し、モチベーション・マネジメントを行っていくことの有効性を実感し、開発に着手したという。

株式会社キーポート・ソリューションズ 代表取締役社長、サイオステクノロジー株式会社 取締役兼専務執行役員 森田 昇氏

気持ちの色を選択し、その日よかったことを入力する
メンバーの気持ちはチームで共有

ウィリズムの使い方はこうだ。平日17時に個人が使用しているPCやスマホから、入力を促すポップアップ画面が現れる。そこで各社員がやるべきことは2つ。ひとつは青(Excellent!)/黄(Well Done!)/赤(Not So Good)という信号色のボタンから、その日の気持ちを選択すること。もうひとつは「3グッドシングス」という、その日にあった3つのよかったことを記入することだ。

「3つの良かったことを記入することを不思議に思われるかもしれません。これは、良かったこと、ありがたかったことを振り返ることで、脳に物事をポジティブに見ようとする癖をつけさせることを目的にしています。ポジティブな気持ちがメンタルヘルスだけではなく、生産性向上に繋がりますからね」

賢人の名言が表示されている下に気持ちを選択するボタン、3グッドシングスの記入欄が続く

入力結果は個人がカレンダーで振り返りができるほか、チーム内のメンバー全員分が一覧として見られるのが特徴だ。管理者であれば色だけでなく、3グッドシングスの入力の有無(○△×で表示)や他チームの状況も見られる。

管理者画面の一例

個人としてのメリットは、①過去の気持ちを振り返られること、②仕事がつらいときなどチームメンバーにSOSをアピールできること、③3グッドシングスの記入によりポジティブ脳になれることなどが考えられる。

チームとしてのメリットはなんといってもコミュニケーションが生まれることだという。

「通常の職場だと上司が『最近どう?』と声をかけても部下は『ボチボチです…』で終わってしまうことが多いでしょう。しかし、ウィリズムがあると『このところ赤だけど、プロジェクト炎上中?』『最近調子よさそうだね。要件定義が得意?』など、プロジェクトの工程に合わせて一歩踏み込んだ会話ができる。コミュニケーションが生まれて退職をとどめられた例もあります。会社全体としても各チームの状況把握ができ、人材の適材適所も図れるなど効率化につながります」

ほかに、個人間でお礼や称賛の言葉をプレゼントする機能や、厚労省の定めるストレスチェック機能も搭載されている。普段の入力で赤の気持ちが多いと、日々現れるポップ画面の中でストレスチェックを積極的に促すような仕組みになっている。通常のストレスチェックとの違いは、年に一度のみではなく何度でも受けていいこと。スナップショット的な一場面だけでなく一年を通じて常に最新のメンタル状態が把握でき、結果は産業医とペーパーレスで連携している。

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