最期まで自宅で暮らし続けるのは可能なのか? 地域包括ケアシステム構築実現へのカギは情報共有システムにあり 「国際福祉機器展(H.C.R.2017)」レポート

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2017.11.06 Mon. 

15か国1地域の527社が出展したアジア最大級の展示会「国際福祉機器展(H.C.R.2017)」(主催:全国社会福祉協議会、保健広報協会)。約2万点の福祉機器の中から、HEALTHCARE Biz編集部が注目したのは業務支援システム。なかでも近年重要性が増しているのが、地域包括ケアシステムの要となる情報共有システムだ。

団塊世代が75歳以上となる2025年に向けて、高齢者が最期まで住み慣れた自宅や地域で暮らし続けられるよう、「住まい・医療・介護・介護予防・生活支援」が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築が推進されている。この地域包括ケアシステムを機能させるためには利用者一人ひとりの状態についての正確な情報収集と、多職種間のスムーズなコミュニケーションがカギとなる。地域全体で、連携する事業所が情報を共有し、多職種がコミュニケーションするために欠かせないものとして期待されているのが、ICTを活用した情報共有システムだ。

導入数最大級! 情報共有プラットフォームの草分け
「カナミッククラウドサービス」【カナミックネットワーク】

「カナミッククラウドサービス」情報共有プラットフォームは、自治体・医療・介護の異なる法人間の多職種、患者や要介護者(以下、利用者)、そしてその家族までが、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末を使って、利用者についての必要な情報をリアルタイムで共有できるプラットフォームだ。

介護業務システムを開発・提供していたカナミックネットワークが、クラウドでサービス提供をはじめたのは2000年。高齢化社会を迎え、在宅サービスへと移行することを予想し、紙ベースが主流だった情報を他法人の多職種で共有できるように開発したという。まさに情報共有システムの草分けだ。東京大学高齢社会総合研究機構の柏プロジェクトをはじめ、全国477地域で導入されている。

「カナミッククラウドサービス」は、アセスメントやケアプランなど、自治体や介護現場が使用する業務システムのデータが、バイタル、食事・水分・排せつ、お薬手帳などの情報に自動的に反映されるという二階建て構造になっている。二重に入力する手間もかからず、ミスも防げる。訪問先や移動中でも入力が可能だ。


操作性にもこだわり、スマートデバイスでは画面をタップするだけ、プルダウンタブから選択するだけ、などアプリ感覚で操作できる。カメラ機能やビデオ機能を使い、写真や映像を共有したり、音声入力機能を使って文字入力したりすることも可能だ。チャット形式のタイムライン機能は無料で提供している。また現場から事務、経営層まで事業所一連の流れを網羅しているので、経営者は現場の報告を事務が集約したものを経営情報として分析、改善につなげることも可能になる。

カナミックネットワーク
https://www.kanamic.net/zaitaku-iryou/

利用者の家族と事業所との
コミュニケーションを促進する機能も。
「MeLL+(メルタス)」シリーズ【ワイズマン】

ワイズマンの強みは、電子カルテや介護記録、請求業務システムといった医療、介護システムを持っていること。それらを同一法人内でつなぐシステムが「MeLL+ professional(メルタス・プロフェッショナル)」で、ワイズマンの電子カルテシステム・介護システムに登録された利用者の情報を、双方で共有、確認ができる。SS-MIX2の標準化ストレージに対応しているので、他社の電子カルテでも連携することが可能だ。

MeLL+community(メルタス・コミュニティ)」は、医療や介護、地方自治体など、連携する事業所間の多職種スタッフが、利用者の情報を円滑に共有できるクラウド型地域医療・介護連携サービスだ。事業所が利用しているシステムを問わず、情報共有・コミュニケーションが実現する。

両システムでは、利用者の情報は更新順に出てくるので、新しい情報をすぐに確認することができる。利用者の特記事項やアレルギー情報は常に表示されるとともに、ダッシュボードの掲示板・回覧板には、未確認の内容だけが表示されるので、確認モレのリスクが軽減。また、事業所間でやり取りする入院計画書や指示書などの文書は一元管理されるので、いつでも取り出して閲覧できる。現場の利用者の写真を撮影し、画像を共有することも可能だ。またタブレット端末やスマートフォンからも利用できるので、訪問先から利用者の状態や様子を投稿し、スタッフ間で気づきをリアルタイムに共有することで、適切なタイミングでのアクションにつなげられる。

2017年10月31日には「MeLL+family(メルタス・ファミリー)」も登場。事業所から利用者の家族へ、連絡事項をメッセージで送ることができたり、イベントなどのお知らせを一斉配信できる。家族側では、専用の無料アプリを使って、いつでも内容を確認することが可能だ。利用者の家族と事業所との円滑なコミュニケーションを支援することで、地域包括ケアの実現により近づいた。

ワイズマン
MeLL+
https://www.wiseman.co.jp/melutasu/

連携スタイルによって3つのバリエーションを用意。
「HOPE LifeMark-WINCARE」【富士通】

2016年2月に発売された介護事業者支援システム「HOPE LifeMark-WINCARE」は、これまでのICT化の中心であった事務処理や記録作業の効率化を図るのみならず、法人の枠を超え、主治医、ケアマネジャー、訪問看護師、介護職員などの多職種間のコミュニケーションを円滑に進めたり、法人内における医療・介護間で情報を共有したりと、地域包括ケアの実現を目指したシステムだ。スマートデバイスにも対応しているので、利用者宅や介護現場など、どこでも職員間での情報の共有が行える。

連携スタイルは次の3つのバリエーションから選べる。
①医療機関スタッフ、自治体職員、訪問看護師、介護職員などの多職種がSNS形式で情報共有する。タイムラインは、情報量が多くなると流れてしまいがちだが、重要な連絡事項についてマーキングを行なったり、別途掲示板に記録したりしておくことで、多職種が常に確認できる。そして利用者の日々の変化などはSNSにより時系列で表示。音声メッセージで記録したり、カメラ機能を使って画像を撮り、そこに手書きメモを書き入れたりすることもできる。また、特定のテーマで利用者を絞り込んでの表示も可能となる。

②一法人内で、富士通の電子カルテシステムと連携し、カルテ情報と介護記録情報を共有。富士通の電子カルテシステムは業界でトップシェアを占めている。医療ソリューションに強く、電子カルテや医療事務システム間の情報共有に早くから取り組んでいた富士通ならではのサービスだ。また、電子カルテシステム上の利用者の既往歴や処方などの診療情報は暗号化されたネットワークサービスを経由することで参照が可能になる。

さらに③地域連携システム「HumanBridge」の導入により、より広域で密な情報共有が可能になる。


富士通
HOPE LifeMark-WINCARE

文/坂口 鈴香

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