夢の現実化が見えてきた! 「再生腎臓を最速で患者に届ける」 日本唯一のオープンイノベーション

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2018.01.04 Thu.  木原洋美

腎臓は、立体的な臓器の中でも最も再生が難しい

2006年に京都大学の山中伸弥教授がiPS細胞の作製に成功して以来、再生医療に応用する研究は大きく進展おり、2017年10月現在、神経、心筋(心臓の筋肉)、血液など様々な組織や臓器を構成する細胞が作製されている。ただし、細胞や組織というものは臓器という立体的なものの一部に過ぎない。そのため、立体的な臓器をつくる試みもなされており、小さな肝臓などを作ったという報告もあるが、 人間のサイズに見合う、あるいは人間の体内で機能するような大きく立体的な臓器ができたという報告はまだない。(京都大学 iPS細胞研究所ホームページより)

そもそも腎臓は、立体的な臓器の中でも最も再生が難しい臓器と考えられてきた。このソラマメの形をした握りこぶし大の臓器は、私たちの体内に2個ずつ備わっている。1個でないのはそれだけ、生命活動に不可欠な臓器である証しであり、なんと寿命を左右する人体の「隠れた要」のような仕事さえも司っているらしい。

ゆえに、横尾氏も、腎臓再生の難しさを次のように述べている。

「これまで腎臓再生は不可能といわれ続けてきました。あまりにも構造が複雑だからです。特に難しいのは、尿を作る機能をもたせることでした。尿を作れるようになるには、1種類の細胞だけでなく、全身の血液を集めてろ過する機能を持った『構造体』が必要、つまり腎臓をまるごと再生しなければならないからです」

遡ること20年前。1997年1月、それまでにない腎不全の治療開発に取り組み始めた横尾氏。再生医療という言葉さえない時代に、腎機能の回復をめざすのではなく、「新たに腎臓を作る」研究をスタートさせ、今、ようやく、最終段階にまでたどり着いたのである。

ただ、「ようやく」ではあるが、不可能を可能にしたことを考えれば、このスピードはぶっちぎりの早さともいえる。ブレークスルーの背景にあるのは、産官学、学学、官官、産産の、国際的なオープンイノベーションだ。多職種、多分野の連携なくしては、不可能は永遠に不可能のままだったろう。

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